律は総長のもとへ行っただろうし、俺はこれから用事がある(※無い)
よく考えたらこれ、バレたら律だけじゃなく総長にも殺されるよあなぁ…と半ば人生に諦観して思った。いや、でも総長のことは紫苑さんとやらが止めてくれるかもしれない。
まだあの女性のことは認めていないが、これで総長のストッパー役の適正があれば、ほんの少しは認めてやろうか、と考える。
決して自分の為ではない。あわよくば総長がこれから抱くであろう俺への怒りも鎮めてくれたらなぁ、なんてことは思っていない。
「はぁ…」
この短時間だけで一体幾つの幸せが逃げただろうか、そう思ってしまうほどの溜め息の多さだった。
あとは涼也さんに任せよう。だって俺用事ある(※無い)から戻れないし。あの場に残ったまともな人って涼也さんしか居ないし。
何となく丸投げ感が凄まじいが、もう何も考えないことにした。
「…あ、」
そういえば、よく考えたら律を彼処に寄越すのはマズイんじゃないか。きっとまだ総長は紫苑さんにべったりくっ付いているだろう。

