律は嬉しそうに笑うと、その勢いで俺に抱きついてきた。周囲から聞こえた悲鳴(歓声)は恐らく隠れて盗み見ていた下っ端たちのものだろう。



…いやちょっと待てよ。
男に抱きつかれるとか最悪なんだけど。




「ちょ、何してんですか」



「喜びを分かち合いたい!!
総長が俺をっ、俺を想ってくれたんだっ!!」




マズイな、これ後で律に絞め殺されるやつだ。バレた時が心底怖い。いっそ夜逃げでもしようか。


死んだ目でギューッとくっ付く律を受け止める。両手を降参するように宙に上げて、早くこの地獄みたいな状況が終わってくれと切に願った。




「やった!総長にかまって欲しくて暴れた甲斐があった!!」




なんだよ全ての元凶総長じゃないか…。


溜息をつきたい衝動を堪える。頼むからそれなら総長を抱き締めに行けと言いたかったが、たぶん今のコイツは俺の声が聞こえていないだろう。すごい喜んでるし。