琥太を下がらせて倉庫に入ると、それはもう物凄い有様だった。


所々に置かれたソファやテーブルはボロボロに壊されて、ガラスやら何やらで床は危険な状態。壁と天井が無事であったことが唯一の救いだ。




「―――…(りつ)




倉庫の奥、暗がりで立ち尽くすそいつに、背後から呼び掛ける。ピクリと肩を震わせた律は、無造作に整えられた灰色の髪を揺らしながら振り返った。



「…理史」



一応族の中じゃ俺の方が立場は上のはずなんだけどな…。興味無さそうに視線を向けてくるところを見るに、俺は律に信用されていないのだろう。


或いは単に、認められていないのか。





「…何だ」



「苦情が来ているんですよ、貴方が暴れていておっかないと」




四方八方から注がれる、好奇の視線。



全員琥太と同じように外に出ているのかと思ったが、ビビりで情けないくせにこういう時は楽しそうに覗いてくる馬鹿な奴らだ、今も何処からか眺めているのだろう。