驚いたように目を見張った青年は、何故か黙り込んで大人しくなった。
首を傾げながらその場を離れる。
包帯やらなんやらを持って戻ると、俯いていた青年が顔を上げた。
「…なん、で…こんなこと…」
「なんで?なんでも何も、当然のことだよ」
心底分からないとでも言うように問いかけてきた青年に、私は無表情のまま答えた。
そんな当たり前のことを聞かれても返答に困る。
青年はほんの少し目を見開いて、ふっ…と息を吐いた、さっきから思っていたが、中々美声の低音である。
この場ではかなり不謹慎な妄想に首を振って、青年の手当てに集中した。
「傷の量が多いだけで、深くは無い。すごいね、重症にならないように攻撃を避けたのか。君結構強そう、喧嘩」
独り言みたいに繰り出される私の言葉に、青年は目を細めて自分の腕や足に巻かれる包帯を眺めている。

