涼くんが気まずそうに獅貴に視線を移した。釣られて私も獅貴を見上げると、彼は面倒くさそうに眉を寄せて答える。
「…理史、お前が何とかしろ」
「…分かりました」
超アバウトな命令だけどいいの?
ぱちぱちと目を瞬かせた私を抱き込んだ獅貴は、それだけ言うと興味を失ったように視線を下ろして私を見る。もう慣れたものだが、やっぱり私を見る瞳は甘く優しい。いい加減にしてくれ。
「紫苑行くぞ、腹減った」
その予定、聞いてないんだけど…
いつの間に獅貴とご飯を食べる予定が出来ていたの?それにまだ学校来たばっかりだよね、さっきおはようって言ったじゃん。
せめて昼休みにしようよ。一時間目も始まってないのにご飯は駄目じゃない?
「………。」
と思ったが、そういえば私もご飯を食べていない。時間が無かったとかじゃなく、単純に金欠だからだ。貯めていたもやしもそろそろ底をつきそうだし、節約しなきゃな…。

