拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】




「気にしないで紫苑ちゃん…!アイツも別に怒ってるわけじゃないだろうし、ね?」



柔らかく微笑む涼くん。チャラチャラした印象は既に消えて、私の中では彼が一番の安心キャラになっていた。なんたって優しくて常識人。初めて会った時のアレは何だったのか。



「俺の紫苑を口説くな、殺すぞ」



「どこが口説いてんだよちょっと落ち着け」



狂人1号である獅貴は今日も絶好調だ。いい加減茶番なら茶番だと言って欲しい。獅貴は私を一体どうしたいんだろうか。


涼くんを睨みながら私を抱き締める獅貴。『抱き締める』って表現これで何度目だと思ってんだ、既視感が凄まじいからいい加減10歩くらい離れて…。



「…?」



視界の端、獅貴のせいで大分塞がれているが、端で動いた誰かに視線を移す。


騒ぐ涼くんと獅貴、眠そうな陽葵には目もくれず、黒マスクくんが携帯を取り出して画面を睨んでいた。