二人が同時に勢いよく涼くんに飛び掛かると、困惑する私を他所に真っ黒いオーラで呻き始めた。
「誰が馬鹿だテメェ!!下半身馬鹿のテメェが言ってんじゃねぇぞ!!」
「…うるさいよ脳筋馬鹿」
「黙ってろチビ!!」
「…は?チビじゃないし。ぜんくんがデカブツなだけ」
ふんっと拗ねたように抱きついてくる陽葵を抱き締め返す。それを同じように拗ねた顔で見る獅貴の頭を撫でた。
「女顔って言いました?今俺に女顔って言いました??」
「怖い怖い。ごめんて、悪意は無いんだって」
「何それもっと最悪じゃねーか」
黒マスクくんが冷静な顔で涼くんと言い合うのを黙って見つめる。陽葵の背中に片腕を回して、獅貴の頭に手を乗せている状態が中々にしんどい。
あまり余計なことを言うと二人がまた拗ねてしまうので、目の前のカオスすぎる状況が収まるのをただ待っていた。

