「…自業自得」
無慈悲である。
「…あの、状況がよく理解出来ないんですけど、取り敢えず涼也さんが言っていた"姫"というのは、彼女のこと、なんですよね?」
私に視線を向けて呟いた彼は、黒いマスクの似合う中性的な顔立ちで、一瞬女性かと勘違いしてしまった。
細身の体とサラサラの黒髪が、何処と無く爽やかな印象を与える。
「…"姫"?…おい貴様どういう事だ…紫苑は俺だけのモノって言っただろ。姫になんてさせねぇぞ」
私をギュッと抱き締めて低く吐き捨てた獅貴。いい加減体を離して欲しい。
暑い体にボーッとしていると、涼くんが慌てたように言い訳する。
「言葉の綾っていうかね!!別に姫にするなんて言ってないよ!!」
両手を振りながら叫ぶ涼くんを、獅貴は冷ややかな目で一瞥して、興味を失ったように視線を逸らした。
「……ならいい、紫苑は俺のだ。
…お前らにはやらねぇからな」

