足が痛むのだろうか、青年は右足を庇うように座り込んで、ボロボロの体で息を吐いた。
もうすぐ春だが、まだ寒さの残る季節だ。
その上この部屋には暖房なんてものもない、体がこの環境に慣れて風邪も引かなくなったのが唯一の救いだ。
それでも、寒さは感じる。
「…っ、ぅ…さむ…君、大丈夫?寒くない?」
「………」
無言で此方を見つめ返した青年にはっとする。
急に話しかけたのはマズかったかな、やはりこんなボロアパートじゃ休めるものも休めないだろう、逆に可哀想なことをしてしまったか。
反省しながら立ち上がって青年に背を向ける。
「…ま、て…どこ行く…」
背後から聞こえた低い声に、思わず振り返った。
「…ぇ、あ、包帯とか取りに行かないと…君の傷の手当て、出来ないでしょ…?」

