「ひ、陽葵…?」
あれおかしいな…私の記憶が確かなら、陽葵は喧嘩が不得意なか弱い少年だったはず…、いや、少年では無かったのだから一つは思い違いをしていたことになるが。
ぷくっと頬を膨らませた陽葵は全然怖くない。
むしろ天使のように可愛らしい。たった今繰り出したことは全然可愛くないけれど。
「…しーちゃん、ぜんくんはね、悪い子じゃないの。ちょっと不器用なだけなの。だから嫌いにならないであげて…」
「余計なお世話だクソチビ!!!」
しゅん…と涙目になりながら言ってきた陽葵に心が痛んで、その言葉に頷こうと思った拍子に騒ぎ始めた金髪くんを陽葵が再び蹴り上げる。
「うるさい。僕はぜんくんの為に言ってるの。
…あとチビって言うな」
「俺の為なら蹴るんじゃねぇ!!!
…それにてめぇはチビだろ…っ痛ってぇ!!」
有無を言わさず蹴られ続ける金髪くんがいい加減哀れに見えてきた。
だから獅貴に視線を向けたのに、獅貴はふいっと顔を逸らすだけ。

