「獅貴!!」
何を言えばいいのか分からず咄嗟に名前を呼ぶと、獅貴はピクッと肩を揺らして金髪くんから手を離した。
「……悪い」
「あ、あぁ…」
ボソッと謝って一歩退くと、獅貴は迷い子のような苦しげな目で私を振り返る。
その表情を見て、思わず苦笑した。
「…怒ってないよ、獅貴にも…彼にも」
なるべく穏やかな声で小さく言うと、獅貴は柔らかく微笑んで私を抱き締め、それを見た金髪くんが僅かに目を見開く。
抱き締められて気付いたが、いつの間にか陽葵が消えて…
「…ってぇ!!!」
「ぜんくんのバカ。
しーちゃんとしーくんを悲しませちゃダメ」
その光景に今度は私が目を見開いた。
今起こったことが確かなら、陽葵は金髪くんの脇腹に華麗な飛び蹴りをお見舞いしたはずだ。

