「―――…殺す」
「っ…!!」
背後に居たはずの獅貴の気配が消える。
目の前でガンッと鈍い音が聞こえてその方向を見ると、瞳に怒りを燃やした無表情の獅貴が、金髪くんの襟を掴み上げていた。
さっきの音は金髪くんが後ろによろけた拍子に、机の縁に腰をぶつけてしまったもののようだ。
「…ッてぇな…
…何キレてんだよ獅貴、らしくねぇぞ…」
獅貴の手首をグッと掴み、彼は苦痛に顔を歪めて吐き捨てる。
獅貴はその様子を見ても表情を動かすことなく、冷淡な視線を向けて口を開いた。
「…紫苑を侮辱するな…お前でも殺す」
絶対零度とはこのこと言うのだろう、そう思うほど獅貴の声も表情も冷ややかで、固く凍り付いていた。
はっとして我に返ると、私は慌てて獅貴の腕に縋り付く。

