「あの…"総長"って…?」
今度は獅貴と涼くんが固まった。
そして固まった獅貴を良いことに、陽葵がさりげなく抱きついてくる。
「しーちゃん、anarchy知らない?しーくんはそこの総長さんなんだよ」
「あ、そうなんだ…って言ってもanarchyがそもそも分からないな…アイドルか何か?」
こうして見ると陽葵って結構男の子なんだなと実感する。身長差も私と同じくらいだし、遠くから見たとき体が小柄だから、年下に見えてただけなのかも。
抱きつく陽葵の頭を撫でながら、anarchyとやらについて聞くと、お二人が目を見開いて私をガン見してくる。
「…あなた、anarchyを知らないんですか?」
「冗談だろ?余所者のフリして獅貴に取り入ったんじゃねぇのか、綺麗な顔してよくやるぜ」
罵りながらも私のブス顔を褒めてくれた金髪くんには心の中で感謝する。なんだ意外と優しい人じゃないか。

