「しーちゃん、やっと来た」
「………………ん??」
扉を開けた瞬間包まれた体。
ふわふわと浮いているような、わたがしみたいに柔らかいその声に首を傾げた。
室内の奥にいる見知らぬ2人の男子生徒が驚いたように目を見開いて、背後の獅貴と涼くんの気配がピシッと固まる音が聞こえた気がする。
「しーちゃん、僕に会いに来てくれたの?」
嬉しい…と頬を染めて微笑む少年。
どこから見ても小学生か中学生にしか見えないその少年は、私を抱き締める力と至近距離から確認した身長から、確かに高校生にも見えなくもない。
「ひ、陽葵…?」
なんで彼がここに…ていうかこの制服…?
一気に頭によぎった嫌な予感。
ギギ…とロボットの如く軋んだ動きで振り返ると、案の定殺気立った獅貴がこちらを睨んでいた。