「……紫苑、おはよう」



「わっ!!びっ、くりしたぁ…」



肩にポンッと手を置かれ、驚いて色気も何も無い悲鳴をあげてしまう。

振り返ると、きょとんと首を傾げる獅貴が私を見つめて立っていた。



「悪い。驚かせるつもりは無かった」


「い、いや、大丈夫。それより早いね、まだ結構時間あるけど…」



私が言うと、獅貴はふわっと微笑んだ。

それはそれはとても良い笑顔だった。彼の周りに花が舞っているように見えるほど。


「紫苑に会いたかった。早く会いたくて堪らなくて、昨日は眠れなかったぞ」


「あ、そう…」


本当にこの男は…。


私の何がそんなに興味深いかは知らないが、一度助けられたくらいでそんなに恩を感じて懐く必要は無い気がする。


まぁ気まぐれそうな人だし、そのうち飽きるかな…。