獅貴の件から考えて、流石に布団は買おうと決意した。


冷え性を舐めていた。すぐに凍って死ぬ。私みたいな半端に体の弱い人間は。


そんなことを考えながら、狭い部屋の中を歩き回って準備をする。

制服に着替える時も陽葵の目は気にならなかった。どうせ子どもだし、なんなら私はもとから肌を見られる羞恥心があまり無い。



「…しーちゃん、細い。もっといっぱい食べないと、倒れちゃうよ…?」



うるうると瞳を揺らして陽葵が心配してくる。


優しい子だなぁ…と和みながら、自分の体を見下ろした。



「大丈夫だよ。まだ三日しかご飯抜いてないし」


「三日も食べてないの…?ほんとに大丈夫…?」



不思議そうに首を傾げる陽葵に、本当に大丈夫だよと笑いかける。


酷い時は一週間水だけの日もあった。


金が無いから仕方ない。やっぱり生きていく上で最も重要なのは愛じゃなく金だな。


うんうんと頷きながら、制服を着終えて髪を手櫛で適当に直す。


時計を見ると、獅貴が来るまでまだ40分ほどあった。


早く起きてしまうのは貧乏さ故の癖だ。時間を1秒たりとも無駄にしたくない。