少し考えたが、青年は家にお持ち帰りすることにした。危ない意味では無い。


襲われたらどうしようとか不安はあったが、その時はその時だと納得させた。自分の貧相な体に興味を持つ野郎もそうそういない。



「…君、立てる?少しでも力が残っているなら立ち上がるだけでも…私だけでは無理があるから」



なるべく小声で耳元に語りかけると、青年は僅かに頷いて足に力を入れ立ち上がった。

もちろん私の肩に腕を回して支えている。



良かった、意識はあるみたいだ。



中学の頃から力仕事のあるバイトもこなしてきたのだ、男一人アパートまで支えてやれなくてどうする。

そう言い聞かせて必死にアパートまで歩いた。


男は苦しそうに息を吐いていた。目元や額に汗と血で前髪が張り付いて、彼の顔はよく見えない。


ただ、なんとなくの雰囲気で、整った顔立ちをしているんだろうなとは予想出来た。