「――しーちゃんは、"しーくん"と同じことを言うんだね」



しーくん…?


首を傾げたが、嬉しそうに微笑む陽葵の前ではどうでも良くなってしまった。

陽葵にも頼れる人間が居るということだろう、良かった良かった。



「…ほら、怪我もしてるし、早く寝ないと。
大丈夫、いなくなったりしないから」


「……ん、ありがと」



腕の中で眠そうに目を擦る陽葵を、優しく抱き締め直す。




なんだか心にも傷を負ってそうなこの少年が、今この瞬間は温かい夢を見ることが出来ればいい、そう願って。