「…なんで?しーちゃんは僕のこと嫌い?だから僕を受け入れてくれないの?僕が気持ち悪いから?だから…――」
「落ち着いて陽葵、違うよ。陽葵のことは大好き、それは本当のこと」
じゃあなんで、そう問いかけてくる陽葵に微笑む。
やっぱり子どもだ、信頼する大人に見捨てられるのが怖いのだろう。
「…陽葵はね、陽葵だけのものなの。誰かのものじゃないの。好きなら、それはその人がとても大切だってだけ。ものとして、自分を差し出すことじゃないんだよ」
ゆっくり、諭すように語りかけると、陽葵は揺れる瞳で私を見つめる。
「…僕は、僕のもの?僕がしーちゃんのものにならなくても、しーちゃんは僕を好きでいてくれる?」
その言葉に微笑む。
頷いて、彼の頭を優しく撫でた。
「そう。陽葵が陽葵でいてくれるのがいいの。陽葵が自分で笑って、お話してくれるのがいいの。『陽葵』で居てくれる君が、私は大好きだよ」
言い聞かせるように囁くと、陽葵はポロポロと涙を流しながら口を開く。