そして一番反応に困ったのは、その人の容姿だ。


奇跡的に傷を付けられなかったのだろう、目は閉じられていたが、顔はよく見えた。

小柄で背の低い全身も、よく見えた。


その人は、彼は、見た限り完全に子供なのだ。


体格からして中学一年、いや、小学生…?



なにより、なにより…、



「…か、かわいい…」



とても可愛らしい顔立ちの少年、喧嘩だと明確に判断出来ないのはそこだ。こんな華奢で可愛い少年が、喧嘩なんて出来るだろうか。


仮に『虐待』だと言われたら即信じる。



「――…ぅ、…ぃた…ぃよ」


「…!!」



泣きそうな声、痛そうに歪めた顔。

考えている場合では無いようだ、まずは彼の怪我の手当てが最優先。


それにしてもデジャブだな、と溜め息を吐いて、あの男の時よりは何倍も軽い動きで、少年を部屋まで運んだ。