「これで紫苑は、"俺の女"だな?」
ニヤッと悪戯な笑顔を浮かべる獅貴。そっと見上げた獅貴の顔に、未だ獰猛な色が残っていたから息を呑んだ。
あぁでも良かった。俺の女、ってことは、私と獅貴は付き合ってるってことか。本当に今の時代のJKが聞いたら腰抜かすくらいの恋愛経験だから、いちいちちゃんと言ってもらわないと分からないよ?
ほっと息を吐いて微笑む。今日は本当に疲れたなぁ…なんて、この状況で考えることじゃないけど。
「じゃあ、そろそろ戻っ…」
「なぁ」
ANARCHYの皆のことも恋しくなってきたし、そろそろBARに戻るか…と獅貴から体を離す。すると間を開けずに獅貴が声を上げた。
なに…?と躊躇いがちに問い掛ける。なんだろう、めちゃくちゃ嫌な予感しかしない。
「これから俺の家に…―――」
「行かねーよ!!!!」
キスも初体験なんだぞ!?お前みたいな獣の家に行けるか!!と怒鳴りたくなった。
こういうところだ。本当に獅貴はこういうところが残念なのだ。基本的にカッコイイくせに最後の最後で残念なイケメンに落ちてしまう。
「はぁ……」
溜め息もそりゃあ吐く。でもまぁ、これが獅貴だよな…なんて甘い考えを抱いてしまった。呆れよりも、苦笑が顔に浮かんでしまったし。

