「っ…私は…!」
震える声。嗚咽の混じった声で話すのは恥ずかしくて、けど止まらない。彼の好意に真剣に向き合う為にも、私は本音を伝えなきゃいけない。怖いものも、不安なことも、告げなきゃいけない。
「…あぁ」
獅貴は小さく応えて顔を上げた。その顔がどんな表情を浮かべているかは分からない。視界が滲んで、歪んで見えるから。
瞳から、何かが頬を伝って降りたような気がした。
「私は…っ、今日のこと、怖かった…」
獅貴が許せない。そう言うと、獅貴はまた「あぁ…」と頷く。さっきのものより、その声は沈んでいた。
分かっていない。獅貴が私の言葉の意味を分かっていないのが、一番許せない。私が言いたいことは、きっと獅貴に届いていないのだ。伝えなきゃって、けど声が震える。
「獅貴たちが…!獅貴たちに何かあったらって、そう思ったら…怖くて…っ!」
「――…っ」
ANARCHYが族だって理解した時から、本当は怖かった。ANARCHYが怖いんじゃない、また失うかもって、そう思うのが怖かった。
気付かないうちに、気付いたら失ってた。そんな結果がどれほど苦しくて悔しいか、私は痛いほど知ってる。続くはずだった"次"が突然無くなるのは、とても悲しくて、辛い。

