「―――…ということなんです」



話し終えた帆乃くんを複雑な気持ちで見下ろす。鴻上さんが彼の目の前のテーブルにカップを置いた。カフェオレの良い香りがする。ちなみにこのカフェオレは三杯目だ。



「…すみません、俺も状況の把握が間に合ってないです」



帆乃くんの隣で申し訳なさそうに頭を下げた未星くん。いやいや、君は何も悪くない。状況が分かってないのは皆同じだ。帆乃くんを除いて。



――取り敢えずあの後、鴻上さんのBARに移動した。



は、いいものの、これはどこから何を話すべきか…。この場合帆乃くんの説明を聞けばいいのか…?と思い話を聞いたが、中々のクセ強案件だった。



「…君が度を越したブラコンってことは分かった」



後は何もわからん、と涼くんが言う。私も大体そんな感じだ。彼がブラコンってことしか分からなかった。


聞かされたのは帆乃くんと未星くんの家庭事情。母子家庭で苦労してきてたのは分かるが、その末の弟くんブラコン化の原因がいまいち分からない。突然のブラコン化覚醒だった。