「…………」
言葉が出ないのは仕方ない。この驚きと持て余した何かをどこに吐き出せばいいのか分からないのだ。
なんかなぁ…いや、たぶんdeliriumはANARCHYに負けたってことで良いんだろうけど、なんかパッとしない。スッキリしないのだ。ていうかこれ勝ったの獅貴たちって言わないし。
「ふふっ…ぜーんぶ思い通りにいっちゃった」
楽しそうに、嬉しそうに笑う帆乃くんに複雑な感情が湧き上がる。彼には何を言うべきなんだろう…普通に考えて「ありがとう」か…?いやでも助けてなんて言ってないし…。
完全に帆乃くんの手のひらの上で転がされてた感が否めない。歳下に翻弄される私たちってどうよ…。
ここに来て黒幕登場か。いや黒幕ってわけでもない、のか…?もう分かんねぇなこれ。
「……ほ、ほの…?」
「………え」
動揺したような足取りで前に進んでくる未星くん。帆乃くんの苗字を思い出した私は何となく状況が読めてしまった。取り敢えず未星くんに道を譲るために横に退く。
名前を呼ばれた帆乃くんが嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑顔を浮かべた。それはもう満面の笑みだった。ぱあぁ!!って感じの、花が咲くような。
「兄さん!!」
「「兄さん!?!?」」