フードを脱ぎ去った綺麗な少年…青年、と言うべきか。さっきまで一緒にいた彼を、呆然と見つめる。そういえばいつの間にか姿が見えなくなっていた。
彼は…帆乃くんはカツカツと足音を鳴らして歩いてくる。足音までピアノの音のように高く済んでいて、どういう原理なんだと眉を寄せた。
日下くんの前まで歩いて立ち止まる。にこっと笑った帆乃くんに、日下くんはポーッと見蕩れているようだった。確かに彼可愛い…ん"ん…カッコイイもんね。
「帆乃…お前、どうして…」
あぁ、やっぱり帆乃くんはdeliriumの人だったのか。と言っても、今はどうか分からないけれど。
「――…!!」
この場にいる全員が帆乃くんを見て、固まったり怪訝そうに首を傾げていたから気付かなかった。私たちの一番後ろにいる未星くんが、一体どんな顔をしていたのか。
「ねぇ総長…いや、もう違うね。日下さん?余裕そうなとこ悪いけど…君の負けだよ?」
こてんっとあざとく微笑む帆乃くん。彼の背後、かなり遠くだが、倉庫の奥にたくさんの男達が倒れていることに、たった今気付いてしまった。
恐らく…というか状況を見るに絶対、彼らをやったのは帆乃くんだろう。
「ANARCHYの奴らも勝手に手伝ってくれたし…案外君たちを潰すの、簡単だったかな」
ちょっと興醒めだけどね?と帆乃くんは肩を竦める。

