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私の名前を叫ぶ獅貴。あんなに余裕の無い表情は初めてで、一刻も早く獅貴の元へ行かなければと、焦燥感が胸を支配する。けれどそれよりも先に、足の速い獅貴が私の元へ駆け寄ってきた。
「…っうわ…!」
「紫苑っ…!!」
近付いた途端ガバッと抱き締められて、慌てて後ろに倒れないよう足に力を入れる。何とか転ぶことは阻止出来たが、背中が仰け反って大分辛い。
そんな私を見兼ねたのか、遅れて走って来た未星くんが獅貴の肩に手を置く。「…総長ー…?」と遠慮がちに呼び掛けているか、聞こえていないのか反応は無い。
「いやー良かった…無事で…」
「涼くん…、…?」
ほっと息を吐きながら涼くんも近付いて来る。無事だよ、と返そうとしたのだが、状況に疑問を感じて口を閉ざした。涼くんは片腕に何を抱えているんだ…?
小さい…子供だろうか。頭が伏せられていてよく見えない。少年が顔を上げると私は、はっとして目を見開いた。
「ひ、陽葵っ?一体どういう…」
"状況…?"まで言うつもりだったが続かなかった。驚愕して言葉が出なかったのだ。陽葵は頬がやつれて焦点も合っていない。虚ろだ。全体的に虚ろだ。
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私の名前を叫ぶ獅貴。あんなに余裕の無い表情は初めてで、一刻も早く獅貴の元へ行かなければと、焦燥感が胸を支配する。けれどそれよりも先に、足の速い獅貴が私の元へ駆け寄ってきた。
「…っうわ…!」
「紫苑っ…!!」
近付いた途端ガバッと抱き締められて、慌てて後ろに倒れないよう足に力を入れる。何とか転ぶことは阻止出来たが、背中が仰け反って大分辛い。
そんな私を見兼ねたのか、遅れて走って来た未星くんが獅貴の肩に手を置く。「…総長ー…?」と遠慮がちに呼び掛けているか、聞こえていないのか反応は無い。
「いやー良かった…無事で…」
「涼くん…、…?」
ほっと息を吐きながら涼くんも近付いて来る。無事だよ、と返そうとしたのだが、状況に疑問を感じて口を閉ざした。涼くんは片腕に何を抱えているんだ…?
小さい…子供だろうか。頭が伏せられていてよく見えない。少年が顔を上げると私は、はっとして目を見開いた。
「ひ、陽葵っ?一体どういう…」
"状況…?"まで言うつもりだったが続かなかった。驚愕して言葉が出なかったのだ。陽葵は頬がやつれて焦点も合っていない。虚ろだ。全体的に虚ろだ。

