今どきの歳下ってこんなに恐ろしい子ばかりなのかな…と震えながら考えて、ふと浮かんだ疑問を彼に投げかける。
「ねぇ、君名前は?私は加賀谷紫苑」
「倉崎禅だ」
私に続いて、ついでのように禅くんが名乗る。私たちを振り返って目を細めた彼は、小さな声で呟いた。ボソッと、それはもう小さな声で。
「……未星帆乃」
照れたように耳を赤く染めて名乗る帆乃くん。帆乃くん…って呼んでもいいのかな。
禅くんが帆乃くんの名前を聞いて「ふはっ…!」と吹き出す。
「な、なに…?」
「…禅くん…?」
お腹を抑えて笑いだした禅くんは、愉快そうに口角を上げている。この禅くんには嫌な予感しかしない。こうなると大抵彼は失礼なことしか言わないからだ。
「ほ、ほのって…女みてぇ!!」
ギャハハッ!!と笑う禅くんを呆れ顔で見つめる。拳をグッ…と握り締めた帆乃くんが、何やらワナワナと震えている。背後に真っ黒いオーラが見えた気がした。
「女みたいって言った…?今僕に女みたいって言ったの?」
「……?」
グイッと禅くんの胸倉を掴んで眉を上げる帆乃くん。禅くんが私に向かって苦しそうに手を伸ばしているが無視だ。今のは禅くんが全面的に悪い。
そんなことより、私は何度目かの既視感を覚えて首を傾げた。

