拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】




「それでもだよ。禅くんが無事だったんだから、信用とか関係ないでしょ?お礼はちゃんと言わないと」



何らかの下心の上だったとしても、その行動の結果に禅くんは今平然としていられるのだ。それが純粋な気持ちじゃ無かったとしても構わない。


私の言葉に眩しそうに目を細めた禅くんは、俯きがちに「…そうだな」と呟いた。どこか釈然としないその表情に、私は思わず彼の頭に手を伸ばした。



「っ……?」



ともすれば触れてさえいないような淡い撫で方。片手で包帯の部分を微かに撫でると、禅くんは驚いたように目を見開いた。そこに痛みや苦痛の色が無いことにほっと息を吐く。



「…まだ何か、思うことがあるの?」


「………」



パッとしない彼の表情。正体は分からないが、きっと何かが禅くんの中で、未だ燻っているのだ。それは今回のことじゃなくて、もっとずっと前の…。



「……俺は」



ぽつりと呟く禅くん。固い地面に正座を保つのは少し辛くて、座る姿勢を崩す。必然的に、彼を下から見上げる形になる。


俯いていた彼の顔は、覗き込むと憂いを帯びていた。



「…俺は、ずっと忘れてたんだ。忘れたいって思ってて、そしたら何か、勝手に忘れてた」



彼の視線の先には、私の足首に巻き付けられたアンクレット。いくら錆びれているとはいえ、それはまだ金具の輝きが光に反射している。本来の飾りの美しさは保たれたままだ。