拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】




そうだ、なんで今まで気が付かなかったんだ。そういえば彼殴られてたじゃないか。鉄パイプで、容赦無くガンッ!と。君は何で平然としてるの?痛くないの?



「禅くんっ…血、血は…!?ていうか傷っ…!」


「…?あ、あー、落ち着け、取り敢えず落ち着け」



今思い出した、とでも言うように頭に手を当てた禅くん。慌てて膝の上から降りて彼の前に膝立ちになる。頭頂部を覗き込んで、あれ…?と首を傾げた。


何やら禅くんが焦ったように私の名前を呼んでいるが、どうかしたのだろうか。そんなことより気になることがあるのだが。



「ばっ…紫苑…!離れろ、その体勢はマズいっ…!」



苦しそうに言う彼は何故か赤面している。禅くんの顔の目の前に胸がある状況に気付かないまま、私は「ねぇ」と話し掛けた。



「この包帯…禅くんが自分で巻いたの?」


「分かったッ!答えるから取り敢えず退け!」



何だよ、そんなに怒らなくても…と文句を言いかけたが、彼のやけに切実そうな必死の態度に渋々離れる。ほっと息を吐いた禅くんに頬をムッと膨らませた。そんなに私が近付くの嫌だったのか。



「…で?傷は大丈夫なの」



胡座をかく禅くんの前に正座をして問い掛ける。「あぁ…」と答える彼は、話題になって気になり始めたのか包帯を指で撫でるように触った。