琥太が誰にやられたか分からないから、取り敢えず繁華街の馬鹿共を片っ端から潰そうと思っていた。これで何人目かは数えていないから知らない。地面に力無く伏せる男を見下ろしてため息をついた。


琥太が怪我をして、その上同じ日に紫苑が拉致られたってことは。この二つは無関係では無いはずだ、つまり紫苑の所に行けば、琥太に手を出した奴にも会える。


さっきから募っていく一方の苛立ちは、紫苑に手を出されたことで更に増した。紫苑は俺の大事な女だ、それは確実に言える。だからこそ、そんな紫苑を連れ去った馬鹿共は消さなくては。



「何処に行けばいい、俺はもう動ける」



暴れられる、の間違いかもしれないが、一応オブラートに包んでおこう。これから繁華街で喧嘩を売ってきた奴は、全員敵だと思って捩じ伏せる。


紫苑に会ったら、この苛立ちも胸の乾きも潤うはずだ。紫苑には不思議な何かを感じる、その正体はいまいちよく分からないが、酷く心地良い何かなのだ。




『―――…場所はまだ特定出来てない。とりあえずお前は片っ端から奴ら片付けて二人を探してくれ』


「……了解」




まだ探し出せていないのか。無能だなと罵りそうになったが、涼也からの指示はそう悪いものでは無いから素直に頷く。


嫌いなdeliriumの奴らを潰しながら紫苑を探す。苛立ちも発散出来そうだし、まぁいいだろう。