「………?」
ふと携帯を取り出した涼也さんは、画面を開いて怪訝そうに首を傾げる。小さな音が中庭に響いた。
いつもより音が明らかに聞こえにくいのは、病院に居るからというせめてもの気遣いだろう。マナーモードにしていないのは頂けないが、今は一応緊急事態だから何も言えない。中庭に出ていて良かったと言うべきか。
「……陽葵からだ」
「…え?」
「………」
ボソッと呟いた涼也さん。思わず声を上げた俺に釣られたように、総長も訝しげに眉間に皺を寄せた。けれどその反応になってしまうのも無理は無い。陽葵から電話が来るなんて、それだけ珍しいことなのだ。
面倒くさがりで活発な行動を嫌う陽葵は、誰かと連絡を取り合う時大抵メールを使う。わざわざ電話を掛けてくるなんて、余程のことが合った時くらいだ。
涼也さんは一度俺たちをぐるりと見渡して、最後に総長を軽く一瞥する。視線で何か言葉を交わしたのか、彼は浅く頷いて通話をスピーカーにした。
『りょーくん…っ
りょーくんどうしようっ…!』
通話ボタンを押した瞬間届いた、陽葵の泣きそうな声。いつも脱力気味でのんびりとした話し方の陽葵。彼が焦ったような早口で訴えていることに、この場にいる全員が息を呑む。
一番早く動いたのは、総長だ。
「何があった」

