私の問いに驚いたような顔をした涼くんは、愉快そうに口角を上げた。



「マジ?それで無自覚鈍感なんだ。うーんこれはギャップ萌え、本気で堕ちちゃいそ」


「今すぐお前を窓から放り投げても良いんだぞ」



低い声と鋭い目付きに、涼くんはすごい高速で謝り倒していた。土下座の勢いだった。


椅子を限界まで近付けて私の体にくっついた獅貴は、更に求めるように首元に顔を擦り寄らせてくる。


その捨て猫のような仕草に、庇護欲が最大まで掻き立てられてしまった。



「獅貴…?大丈夫だよ。私ここにいるよ」



なにせ顔が良い。イケメンというのはこういう時に罪だなと実感する。

どんなことを言っても許されそうな美貌がもう駄目だ、狡い。



「――…紫苑ちゃんの方が、大概タチ悪いけどね」



呆れ気味の涼くんは「無自覚な分もっとさ…」と疲れ気味に溜め息を吐き出した。