拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】



「そうだよ」と笑って言う日下くんに、やっぱりそうかと冷や汗が流れる。徐々に詰め寄ってくる背後の男達に体が固まると、倉崎くんが私の体を抱き寄せて窓際に下がった。



「倉崎く…――」


「黙ってろ、そのまま離れんなよ」



後頭部と背中に手を当てて、私の体をしっかり抱き締めてくる倉崎くん。突然の出来事に慌てて彼の名前を呼ぶが、 直ぐに窘められた。


仕方ないかと目の前の胸板に額をくっ付けて、彼のシャツをキュッと握り締める。ビクッと揺れた倉崎くんに首を傾げたが、彼は何も言わない。



「まさか君一人で俺らと殺り合うつもり?」



嘲笑が混じった日下くんの声が聞こえる。そんなの無理だと叫びそうになったが、そんな私の気配を察したのか、倉崎くんがそれより先に答えた。



「…あぁ?てめぇらこそ…そんな人数で俺を殺れると思ってんのか」



煽るような声音に体が震える。大丈夫なのかそんなに煽って…と不安が過ぎったが、倉崎くんの腕が僅かに強ばっていることに気付いて言葉を失った。


彼は思っていないのだ、自分一人でこの人数をどうにか出来るなんて。


彼はANARCHYの中でもかなり喧嘩が強い方だと陽葵が言っていたが、流石に大人数、且つ刃物持ち相手だと厳しいだろう。獅貴じゃあるまいし。倉崎くんは強いだけで、最強では無いのだ。