「気ぃ遣い過ぎだ。別に踏み込んで来ても怒らねぇ。答えられるかは、今は別としてな」



今は、にアクセントを置く彼の言葉に微笑む。まるでこれから先はあるみたいな言い方に、顔が赤く染まって頬が緩んだ。


倉崎くんの言葉は、やっぱりどこか優しくて安心感がある。無条件で頼って、寄りかかってしまいそうな不器用な温かさと、言いようのない、不思議な懐かしさ。



「…さっきの質問の答えなら、俺はアイツらのとこには行かねぇ。面倒くせぇしな」



言葉の通り、心底面倒くさそうに呟いた倉崎くんに苦笑を零す。きっとそれだけが理由では無いのだろうが、それは聞かないでおこう。


彼の誠実な態度に、燻っていた不安は大分取り除けた。彼らに彼らなりの秘密があるなら、私はそれを尊重すべきだ。大体私にはANARCHYとの関係は無いのだから。



「…皆が戻ってきたら…」



私はどうするべきなんだろう。知らないフリをして笑うべきだろうか。あまり積極的に掘り下げるのも違うだろうし…。


言葉に迷う私に、倉崎くんは両手をポケットに入れながら窓の外を一瞥する。そしてなんてことも無いように呟いた。



「…普通にすればいいんじゃねぇの。褒めてやれよ。たぶん今回は、アイツらすげぇ疲れるだろうから」



言葉の意味に首を傾げて、それから笑った。そうだねと答えると、倉崎くんはどこか困ったように、ふっと微笑んだ。