理史が来たら怒られるだろうなー…なんて漠然と考える。怪我の適切な処置はしたのか、どうしてこんなことになったのか、とか。
聞かれても答えることは出来ないが。
そもそも情報が無ければ、俺たちは琥太を探し出せなかったかもしれないのだ。匿名で送られてきた、あの情報が無かったら。
初めは罠だと一蹴したが、他の下っ端達がそれを許さなかった。琥太が居なくなったのは事実のようだったからだ。
これでも一応幹部の責任があるからと来てみれば、情報は確かに正しかった。deliriumにも余所者が混じっているということだろうか。
それならdeliriumを内側から崩壊させることが出来るが、奴らの敵だからと言って俺たちの味方という保証は無い。
「理史ー…早く来ーい…」
これで突然襲われたりしたら逃げ場が無い。琥太だけを置いて逃げるとかダサいしな…。かと言って武器持ちが大人数で来られても困る。
「はぁ…」
考えても仕方ない。待つしかないのだ。覚悟を決めよう。ていうかシキはどこ行ったんだ、まぁいいか、他人の心配してる余裕今の俺には無い。
シキの機嫌直ったかなーなんて逃避気味に考える。何あったら紫苑ちゃんを呼ぼうと丸投げの判断を決意した。