「…あ、それでシキ、どうすんの?紫苑ちゃんあそこに連れてくの?」
「嫌だ、紫苑は俺だけのものだから」
なんかとんでもない発言が鼓膜を掠ったが、ここは華麗にスルーして涼くんの言葉の方に思考を回す。
「あの、"あそこ"とは…?」
恐る恐る問いかけると、涼くんは笑顔を浮かべて獅貴の頭を軽く殴った。獅貴痛くないのかな…すごい音したけど…。
「こいつの戯言は気にしないでね紫苑ちゃん。
あそこっていうのは第二視聴覚室のことだよ。あの教室今は使われてないから、俺らが使ってやってるの」
すごい上から目線だ、パクったの間違いではないだろうか。
涼くんの話の途中に、「いたい…」と小声で呟きながら私を抱き締めた獅貴に視線を落とす。
無言で頭を優しく撫でると気持ち良さそうに大人しくなったので、その状態で涼くんに再び視線を向けることにした。

