怖かっただけだ。獅貴との時間は心地良くて、失いたくないと思ってしまった。楽しい時はいつか必ず終わるから、適度な距離感を保たなければならない。
もっと近付きたいと、仲良くなりたいと、思ってはいけない。想い過ぎてはいけない。
―――得る喜びより、失う恐怖の方が大きい
けど、知ってしまったものはどうしようもない。たった今、いや、今じゃないんだろう。きっともっと前から自覚していて、それを今、認めたってだけ。
だから今更認めても、大した後悔は無い。いずれ結局、知ってしまっていたものだ。
「…獅貴が、好き…?」
言葉に出したものは、取り消せない。

