「へぇ…なるほどね。これはシキが堕ちても仕方ないかも。俺も気に入っちゃった」
「…?」
嬉しそうに呟いた涼くんに首を傾げると、隣の獅貴が機嫌悪そうに私の耳を両手で塞ぐ。
そのせいで、二人の一瞬の会話は聞き取れなかった。
「惚れたら殺す。紫苑は俺のだ」
「はーいはい、分かってますよ、"総長"?」
離された手に眉を寄せて、獅貴の方を振り返る。
「急に酷いよ。びっくりしたでしょ?」
「悪い…拗ねた顔も可愛いな」
聞いちゃいねぇ。
何故か初対面の女に激甘な態度のこの男、もしかして私のことが…?なんて乙女思考を展開していたが、よく考えたら私みたいなブスにこんなイケメンが惚れる訳が無い。
それとも獅貴、この顔でゲテモノ好きなのか…?
すごいな、世界って広いな、色んな人がいる。

