拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】



けどその言い方は若干誤解を産むんじゃないか。襲われそうになったのは事実だが、一応未遂だし。



「あの、獅貴…?」


「…何処の野郎だ、ぶっ殺す」



とても物騒だ。獅貴の背後に燃える殺気が凄まじい。ドス黒いオーラが此方まで飲み込みそうで、無意識に仰け反ってしまう。


怒り心頭って感じの獅貴に、未だ微笑みを崩さない鴻上さんが、その笑顔をほんの少し黒いものに変える。



「汚物は排除しましたよ。
そんなことより獅貴くん、ANARCHYのこと、紫苑ちゃんに何も話していなかったんですか?」



汚物、という言葉に思わず零れる苦笑。さっきの光景はやはり幻ではなかったのか。彼は本物の天然天使だと思っていたのに、見事に腹黒だ。もう何も信じられない。


鴻上さんの問いにビクッと肩を揺らした獅貴は、余裕の無い目で私を一瞥してから非難がましく鴻上さんを軽く睨む。



「…っ…勝手なこと、するな」


「勝手?元はと言えば、さっさと話さない君の所為でしょ」



珍しく鴻上さんの語彙が荒い。獅貴も負けずと強く睨んでいて、これでは話が進む様子は見られない。


仕方なく溜め息を吐いて獅貴の頭を撫でる。視線をこちらに移した獅貴に笑いかけると、彼は放心したように目を見開いた。



「紫苑…」



やがて苦しそうに目を伏せる獅貴。眉は申し訳なさそうに下がっている。