「…?…あの、じゃあ何ですか、獅貴は自分達が族だって、私にバレてないと思ってる、ってことですか…?」


遠慮がちに聞いてはみるものの、頭の中は"?"で埋め尽くされている。衝撃の事実だ、違和感をちょっと考えれば誰でも気付くことだし。


首を傾げる私に、鴻上さんは困ったように苦笑した。眉を下げるその姿は、何だか申し訳なさそうだ。



「そう、なんですよね…。
さっきも言った通り、恐らく紫苑ちゃんに嫌われるのが怖いからだと思うんですが…」



確かに族は怖い。出来れば関わりたくない人種だ。けどそれとこれは違うだろう。


私は"族"に対して偏見的に恐怖心を抱いているだけであって、"彼ら"に抱いている訳では無いのだ。というか獅貴たちのことは普通に友達だと思っている。



「えぇ…そんな…」



困惑した声しか出ない。てっきり彼らとは色んなこと全てを引っ括めた上で、本音の付き合いをしていると思っていたのに。


いやまぁ、特段親しいという思い上がりをしたことは無いが。精々『ちゃんと私たち友達だよね』くらいのノリだ。"ちゃんと"というのがポイント。


獅貴に至っては『お前には嘘を付かない』なんて宣言していたくせに、普通に嘘付いてるじゃないか。この何とも言えないモヤモヤした気持ちを何処へ向かわせればいいんだ、まったく。