気弱そうな担任の小声で何を言っているか分からないHRが始まる。
案の定不良校なので、教室内は雑談の嵐、真面目に話を聞いているのは一人もいない、哀れな担任だ。
「…そういえば、前の席が三つ空いてるけど、
入学早々風邪でも引いちゃったのかな」
窓際の一番後ろに獅貴、その隣に私、私の前に涼くんというなんともご都合主義な配置が出来上がってしまっているが、涼くんの隣と前の二つの席には誰も座っていない。
涼くんは「あー…」と言いづらそうに眉を寄せて、私の疑問に応えるように苦笑した。
「たぶん気ぃ遣ってくれたんだろうねぇ。俺らの、あぁ、俺とシキの友達、あと3人いるんだけどね、そいつらの席だよ」
「なるほど…」
あと3人もいるのか、流れ的に問題児確定だな…。
「…アイツらは今用事がある。
明日になったら来るだろ、無視していいぞ」
「え、無視は駄目だよ獅貴。それに獅貴のお友達ならちゃんと仲良くなりたい」
私の言葉に体を固めた獅貴だったが、同じく目を見開いていた涼くんと同時に微笑んだ。

