獅貴くんが総長の座に着いてから、deliriumの動きは鈍化した。どうやら彼らも、ネオン街で有名だった獅貴くんを警戒していたようだ。
けれど全くという訳では無い。確かにdeliriumは抗争を仕掛けてくるし、ネオン街で下っ端達に喧嘩を吹っかけてくることもある。ANARCHYの連中は相手にしていないようだが。
そんなdeliriumの動きが、最近になって急激に減った。ネオン街でも繁華街でも、目立った事象は起こさない。
ANARCHYが余りにも、deliriumに無頓着だったということもあるのだろうか。獅貴くんだけでなく、今のANARCHYの幹部はANARCHY自体に興味が無い所為か、暴力沙汰に首を突っ込むのも稀だ。
ANARCHYに興味を示さない獅貴くんたちが、deliriumに関わる訳もなく。二つの族の関係は平行線を辿っていた。
けれど今回は違う。今までと、全くと言っていい程。
こんなにも奴らに動きが見られないのは異常だ。
最後に奴らが起こした目立った事象と言えば、陽葵くんがdeliriumの下っ端連中に襲われたあの日のみ。
それも涼也くんと理史くんが片付けたと言っていた。つくづく出来る後輩達だ。
deliriumに動きが見られなくなったのは最近。丁度、獅貴くんが紫苑ちゃんに一目惚れした頃だろうか。
何となく、deliriumが何を考えているかは予想がついている。取り敢えず、その目的の中に紫苑ちゃんが居ることは確実だろう。

