戦慄したように叫んだ涼くん、獅貴の対応があまりにも冷たくて哀れになる。
「し、紫苑ちゃん?そんな顔しないで…?なんか、なんだろう、自分が情けなくなるから…」
涙目で苦笑する涼くんからそっと目を逸らす。
獅貴はやり取りに飽きてしまったのか、興味が失せたように私を抱き締める力を強めて、後ろから私の顔に自分の頬を寄せて頬擦りしてきた。
「…紫苑の頬、柔らかい…ずっと撫でていたい」
小っ恥ずかしいセリフを普通に吐く獅貴に溜め息を吐く。
こちとら恋愛経験乏しい陰キャ女子なんだからそういうイケメンくさいことはしないで欲しい。
というかそろそろ体離してくれないかな…そもそも何故この男は女子を平然と抱き締めているんだ、駄目だろいろいろ。
なるほどこういう時に発揮されるのか、
※但しイケメンに限る※のテロップは…。
現実逃避していると、ようやく校内にチャイムの音が響き渡る。
そろそろ座らないと、と獅貴を納得させて、渋々体を離した獅貴に苦笑して席に付いた。

