二人に近付いて叫び声の意味に気付く。何だか既視感のある光景だ。確かBARでも同じ光景を見たような。
「なんで全部食っちまうんだよー…」
「…我慢、できなかった」
ビュッフェかと言わんばかりの大量の料理は、瞬く間に消えてなくなってしまった。やっぱり陽葵の胃はブラックホールだ。この数秒でどうやってこの量完食したんだよ…。
私が肩を落とす姿を何やら誤解したのか、背後から獅貴が近付いて来る。
「紫苑、悲しいのか?また遵に頼むか?」
「やめて!!もうあの人を振り回さないで!!」
なんか修羅場みたいな受け答えをしてしまったが、鴻上さんの為だ、仕方ない。皿の量を見る限り余程の時間を掛けて料理を作ってくれたのが見て取れる。
その上また作れなんて、鬼畜の所業だ。
「………」
「…陽葵?どうしたの?」
突然ピクッと肩を揺らして黙り込んだ陽葵。この動きにも既視感がある。問い掛けると、陽葵は振り向いて扉を凝視した。
バタバタと此方に近付く大きな足音。誰かが走って向かって来ているようだ。
ふっと肩の力を抜いた陽葵と、興味無さげな面々。このパターンはやっぱり見たことがあるな、と溜め息を吐いた。
―――バンッ!!
「総長!!紫苑!!」
予想通りと言うべきか、なんというか…
「…律、おはよう」
既に時計は12時を回っているので、おはようは間違いか。けど今日会うのは初めてなので一応おはようで統一しておく。
律は上下半袖短パンのジャージ姿。赤いハチマキを頭に巻いて、如何にも『体育祭』というオーラを身に纏っている。
どうやら彼は真面目に行事に参加しているようだ。

