「おいチビてめぇ…
また遵さんに迷惑掛けやがったのか…?」
倉崎くん、不良枠に見えて実はまとも枠説が浮上してきた。そう言えばよく考えたら彼が暴走しているところを見たことないし、どちらかと言うと窘める側だったような気もする。
人は見かけによらないってこういうことか…。
「…遵、"さん"?」
ふと首を傾げる。倉崎くんの一言に重大な違和感を覚えたかと思い、はっとする。そうだ、彼が人を『さん』付けで呼ぶことに違和感があるのだ。
私の疑問に気が付いたのか、隣に居る未星くんが不思議そうに目を瞬く。小声だったせいか、呟きは彼にしか聞こえなかったようだ。
「…あれ、紫苑さんもしかして、知りませんか?」
「知らないって、何が?」
意味深な言葉に怪訝に問い返すと、未星くんはその表情のまま口を開く。
「遵さんはANARCHYの―――」
「―――あぁ!!こら待てマリ!!」
ビクッと肩を揺らす。不意に室内に響き渡った叫び声に、未星くんが言いかけていた言葉は一瞬で頭から抜け落ちてしまった。
彼と同時のタイミングで振り向くと、涼くんが焦ったように陽葵の肩を掴んでいる。
「今度は何ですか…」
呆れの篭もったため息混じりに、未星くんが呟く。とても疲れているようだ、実に不憫である。

