はっとしたように私に視線を戻した彼は、穏やかな笑顔を浮かべて口を開いた。
「俺、水瀬涼也ね!!
『涼くん♡』って呼んで!紫苑ちゃん♡」
中々キャラの濃い人だな…。
感心しながら彼を見つめていると、何故かムッとしている獅貴が背後から私の体を抱き締める。
女子の『キャー!!』という歓声(嘆き)が煩いので離して欲しい、一体突然どうしてしまったんだね獅貴クン…。
「…わぁ、ほんとにベッタリだねぇ。
…この子が探してたお姫サマか?シキ」
やけに真剣な顔で聞いた涼くんに、獅貴は応えるようにこくり、と頷いた。
私は状況が把握出来ずに混乱している。
探してたとかお姫サマとかよく分からないので、一旦落ち着いて全て説明して欲しいところだ。
「…あの、とりあえず涼くんも獅貴も、座らない?立ったまま話ってのも…」
「そうだね、って早速涼くん呼びしてくれるんだ!?君真面目だねぇ!!」
「殺す。紫苑、こんな奴名前を呼ばなくていい。精々『生ゴミ』辺りが妥当」
「生ゴミ!?!?」

