拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】



「…分かってたことですけど、そう上手くは行きませんね。今更になって自分が仕出かしたことの重大さに気付くとか、本当情けない限りです…」


落ち込んだように肩は落とされているが、浮かんだ表情は困ったような微笑だ。ままならない結果に酷く絶望している訳では無いらしい。


こうなる可能性も予測した上で、彼の中ではきっと当然の結果なのだろう。



「…なら、諦めるの?」



売店の横に設置された自販機の前で立ち止まる。列をなぞるように指を差して選んでいると、未星くんはそれをボーッと見つめながら静かに答えた。



「…弟には、謝り続けます。許してもらうまで、というよりは、アイツが『もういいか』って、呆れるまで」



初めから、許してもらうつもりは毛頭無いというような話し方だ。でも確かに、相手が呆れるまでというのは合理的な判断なのかもしれない。


こういうのは、許す許さないじゃないんだろう。そういう極端な結果が通用しないところまで、雁字搦めになって拗れてしまった事象もあるということだ。



「そっか。君がそれで良いと思ったなら、それが正解なんだろうね」



ポケットに常備している財布から小銭を取り出そうとすると、未星くんが慌てたようにそれを止めてくる。どうやらお金は自分が払うと言ってくれているようだ。


別に使っても皆からちゃんと返してもらうのにな…と思いながら、けど未星くんは女性に優しいから許せないのだろうと素直に礼を言う。