「おいそこぉ!!甘いよ甘すぎる!!見てるだけで暑苦しい!!」


「だからてめぇが一番暑苦しいっつってんだろ!!」



限界が来たのか、倉崎くんが叫ぶ涼くんの頭に拳骨を落とす。どうやら冷静に見えて、倉崎くんもかなり暑がっている様子だ。金髪が汗に濡れて更に輝いている。


ふと陽葵に視線を向けるが、彼はさっきと変わらない。相変わらずうつ伏せで倒れている。死んでないよね?



「…はぁ…紫苑、好き」


「っ…不意打ちやめてよ、びっくりするでしょ」



どうやら告白の件は忘れていなかったらしい。暑さで頭がやられている所為でもあるのか、獅貴は半ば朦朧とした表情で「好き」と囁く。


大分小声なので私にしか聞こえていないが、こんなところ、特に学校内では言わないで欲しい。普通に恥ずかしいし。


「…ていうか、体育祭全部サボっちゃって本当に良いのかな…」


見てるだけで暑苦しい、というのは正味的を得ているものはある。涼しさを求めて窓の外に視線を向けたが、見えるのは青い空とグラウンドで騒ぐ全校生徒たちだけ。


涼しさは微塵も感じない。むしろこの光景はサボっているという事実と現状を思い知らせてくるのみだ。



「別にいいだろ、俺らに文句言える奴居ねぇし」



携帯を弄って倉崎くんが言葉を返す。いやそんなこと…と前なら言っていたが、今は確かにとしか思わない。


未だよく分かっていないのだが、彼らは生徒のみならず教師にも恐れられているような感じがするのだ。