「…こら獅貴、寄っかからないで、暑い」
「………」
こいつ、聞いちゃいねぇ…。
私を抱き締めるのは諦めたものの、くっ付くことは諦めていなかったらしい。床にぺたりと座り込んだ姿勢で上体を傾け、私の膝に頭を乗せる獅貴に溜め息を吐く。
短パンの所為で、少しだけ獅貴の髪が素肌に当たって擽ったい。
万一外に出た時、紫外線やらの問題があるのでジャージの上着を持ってきたが、この調子だと出番は無さそうだ。今は椅子の背もたれに掛けている。
余談だが、ファスナー式の上着なので掛けるのがとても楽だ。中学の時の上着はパーカータイプだったから椅子に掛けるには向かなかった。
「…紫苑、撫でて」
「っ……」
上目遣いの流し目。息をするように色気を撒き散らす獅貴に内心悶絶する。ただでさえ最近は態度に困ってるのに、何故この男は以前と同じ距離感で近づいて来るのか。
自分が告白(?)したこと忘れてるのかな…。
「…っ、はぁ…分かった分かった」
言われても撫でない私に悶々としたのか、獅貴は自分の頬を私の膝に擦り付けてくる。変な感じするからそれやめろ。
「…ん、もっと」
「………」
観念してサラサラの黒髪を撫でると、獅貴は気持ち良さそうに目を細める。というか、彼は私にくっ付いて暑くないのだろうか。