突然の体育祭に私自身困惑気味だ。がしかし、普通に授業に出て学校生活を正しく謳歌している生徒たちには突然のことではない。


実はこの面々、サボりすぎて体育祭があることも知らず、その種目決めの時間にも教室へ行かなかったのだ。余りにも馬鹿だ、自業自得だ。


当日になり初めて体育祭が今日であることを知った。そういえば以前からクラスがザワついていたような気もする。今思い出したところで後の祭りだが。



「あぁ〜あっちぃ!!」



さっきから暑さへの文句を垂れ流し駄々を捏ねている彼、涼くんだ。実は今こんな状況に陥っている主な原因は彼だったりする。



「全然涼しくねぇし!!エアコン付いてんのか!?」


「今付けたばかりなんです、涼しくなるには時間が掛かるんですよ」


「おい涼也、お前暑くなるとキャラ変わる癖をどうにかしろ、お前が一番暑苦しいぞ」



少しでも涼しさを求めているのか、涼くんは表面が冷たい長机に抱き着くように席に着いている。そんな涼くんを無視することなく返事をする未星くんと、本当に鬱陶しそうに吐き捨てる倉崎くん。


ちなみに私はきちんとお行儀良く椅子に座っている。さっきまで獅貴の膝の上に拘束されていたのだが、余りの暑さに怒ったらしょんぼり肩を落として解放してくれた。


今は獅貴もちゃんと、椅子に座る私の横、つまり床に胡座を掻いて座っている。それはそれでどうなんだ。



「…とける。暑すぎ」


「陽葵、暑いのは分かるけど床で寝ちゃだめだよ。ジャージ汚れちゃうよ」



床にぺたりと張り付くように、大の字、そしてうつ伏せで寝そべる陽葵。正直その姿勢が一番涼しそうな気もしなくもないが、流石にそれをやる勇気は無い。